伴侶動物の高齢化に伴う行動異常や運動機能の低下は、人と動物が共生していく上で問題となる場合が少なくありません。加齢による認知障害や運動機能低下の機序解明や老化研究のための実験基盤の確立を目指します。
動物の専門家を目指すためには、動物の体の構造や仕組みを理解するのはとても重要なことです。
私達の研究室では、疾患モデルマウスや培養細胞を使って、特に脳や運動に関わるからだの装置に関する研究をしています。
3年生もジェノタイピングができるようになってきました。
脳には多数の神経細胞があり、神経細胞同士が互いに連絡することで、からだ中の働きをコントロールしています。また、からだを動かす骨格筋の細胞は、運動神経からの信号を受けて収縮します。これらの細胞が障害を受けたり、細胞間の連絡が障害されたりすると、人を含めた動物の様々な生理機能や運動に影響を及ぼします。私達の研究室では、これら神経細胞や骨格筋細胞の機能がどのように破綻し、生体に影響を及ぼすのかを明らかにするために研究を行っています。
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加齢に伴い筋肉量が減少し筋力が低下する「サルコペニア」は、人以外の動物でも認められます。私達は、培養細胞を用いて筋肉におこる老化現象の一部を再現することで、
実験動物に代わる、老化研究のための実験系の確立を目指しています。これまでに、培養筋管細胞を用いた私達の実験系で、老化と類似したメカニズムで筋萎縮が起こることを見出しています。
● 運動神経の興奮により、筋肉は収縮します。この運動神経と筋の接合部を神経筋接合部といいます。神経筋接合部は、加齢とともにその形態が変化していくことがわかっています。そして、このような神経筋接合部の形態変化は加齢による運動障害に関与している可能性があると考えられています。私達は、培養細胞を用いて作製した神経筋接合部を用いて加齢性変化を再現したいと考えています。
● FACITコラーゲンファミリーに属する12型コラーゲンは、コラーゲン繊維に結合し、コラーゲン組織の性質に影響を及ぼすことが示されています。12型コラーゲンは脳を保護する脳髄膜に局在していますが、その働きは明らかになっていません。私達はノックアウトマウスを用いて、脳髄膜による脳保護作用における12型コラーゲンの役割の解明を目指しています。
● 新しい病態モデルマウスの開発に、医薬基盤・健康・栄養研究所 霊長類医科学研究センターと共同で取り組んでいます。
● 脳の神経細胞は、虚血によって細胞死を引き起こしますが、細胞死を起こさないような弱い虚血が起こると、神経保護作用が働きはじめ、その後におこる虚血に対し抵抗性を示すようになります。そして、この神経保護と細胞死という相反する現象には、どちらにもグルタミン酸受容体が関与することが知られています。神経細胞が、グルタミン酸受容体を介して、神経保護と細胞死をどのように制御しているのか、その機序の解明に取り組んでいます。
福永優子(教授)
問い合わせ先:yfukunaga@cis.ac.jp
4年生
H. Sugita
K. Nakanishi
3年生
A. Sedei
K. Kawakami
T. Arima
T. Masuda
T. Segawa