坂 研究室

 

毒性学で動物危機管理に貢献する

研究室活動

医薬品をはじめ、食品添加物、特定保健用食品、医療機器などを対象として、科学的根拠に基づいてヒトに対する安全性を適切に評価しなければなりません。すなわち、毒性学に基づくリスク評価が求められています私達の研究室では、これらのヒトに対する安全性を評価するために必要な実験動物を用いた発生毒性評価研究を行っています。

◆ 実験動物を用いた生殖発生毒性評価の重要性

化学物質などの生殖発生毒性(次世代に及ぼす影響を含む)についての評価を行う場合、ヒトを用いた臨床試験で確認することができません。従って、実験動物を用いた生殖発生毒性評価が非常に重要であり、特に妊娠動物を用いて胎児への影響を評価する発生毒性試験(催奇形試験)はサリドマイド事件以降、特に重要視されています。しかし、試験方法や試験結果のヒトへの外挿性など、数多くの課題があります。私達の研究室では、化学物質の発生毒性作用の評価技術の確立を目指して研究を行っています。

研究紹介-1

化学物質などの生殖発生毒性(次世代に及ぼす影響を含む)についての評価を行う場合、ヒトを用いた臨床試験で確認することができません。従って、実験動物を用いた生殖発生毒性評価が非常に重要であり、特に妊娠動物を用いて胎児への影響を評価する発生毒性試験(催奇形試験)はサリドマイド事件以降、特に重要視されています。しかし、試験方法や試験結果のヒトへの外挿性など、数多くの課題があります。私達の研究室では、化学物質の発生毒性作用の評価技術の確立を目指して研究を行っています。

◆ 化学物質により誘発されるラット胎児の骨格変異等の毒性学的意義に関する研究

ラット胎児に中軸系骨格に変異または軟骨異常を高頻度に誘発させる化学物質を選定し、その物質を用いて、誘発された骨格変異や異常が生後どのように変化するのか、また出生児の生後発達や運動機能にどのような影響を及ぼすのかを調べて、変異や軟骨異常が有する毒性学的意義の検討を行っています。

写真はラット胎児の骨格標本です。ある化合物を母動物に投与することにより仙椎(骨盤近辺にある背骨)が1つ増えています。

研究紹介-2

◆ 化学物質により誘発されるラット胎児の心循環系に対する影響

心循環系の薬剤にはラットのin vivoの試験で胎児致死や形態異常を誘発するものがあります。その原因を研究するためにラット胎児を24時間培養しました。その結果、右の写真のように胎児において循環障害とそれに起因する形態異常が認められ、この作用がin vivoでの胎児致死や形態異常を誘発する原因と考えています。

この手法は化合物による発生異常の作用機序を研究するために有用な方法で、発生毒性評価に有用な情報を提供します。

実験動物1級技術者資格

本学は社団法人実験動物協会の1級資格認定の特例校です。実験動物1級技術者資格は通常では社会にでて実験動物にかかわる業務を経験した後にこの資格を受験できますが、特例校ゆえに在学中にこの資格を受験できます。在学中に取得するために実験動物の授業と実習、またはサークル活動を通じて知識と技術の取得を目指し、毎年、合格者を出し、合格者はこの資格を生かして社会に貢献しています。

実験動物2級技術者資格についても、1級資格取得の前段階として受験することが出来ます。こちらの資格も多くの合格者を出しています。

研究室メンバー

教 員

坂 芳樹(教授)

学部生

4年生

大友遥香

沖村 遥

小沼寛季

熊谷丞泰

坂本知也

八田青夏


学会発表・講演

  1. 第57回 日本実験動物技術者協会総会、ICRマウスにおける妊娠後期の胎子の骨化(1):頭蓋骨、鎖骨、肩甲骨、胸骨分節、寛骨、椎骨の骨化、2023.
  2. 第57回 日本実験動物技術者協会総会、ICRマウスにおける妊娠後期の胎子の骨化(2):四肢骨の骨化、2023.
  3. 第57回 日本実験動物技術者協会総会、妊娠後期におけるICRマウスとSDラット胎子の骨化の比較、2023.
  4. 比較眼科学会基礎講座 「眼の発生学」、2023.
  5. 第56回 日本実験動物技術者協会総会、マウスにおける生後3, 7, 14日の骨格標本作製法に関する検討、2022.
  6. 第56回 日本実験動物技術者協会総会、ラットにおける妊娠後期の胎児の骨化(1):頭蓋骨、鎖骨、肩甲骨、胸骨分節、寛骨、椎骨の骨化、2022.
  7. 第56回 日本実験動物技術者協会総会、ラットにおける妊娠後期の胎児の骨化(2):四肢骨の骨化、2022.
  8. 48回 日本毒性学会学術年会、シンポジウム:感染症の予防と治療における生殖発生毒性;抗菌薬でみられる生殖発生毒性、2021.
  9.  47回 日本毒性学会学術年会、免疫抑制剤アザチオプリンのラットを用いた発生毒性に関する研究:器官形成期における単回投与による影響、2020.
  10. 46回 日本毒性学会学術年会、免疫抑制剤アザチオプリンのラットを用いた発生毒性に関する研究:器官形成期分割3日間投与による影響、2019.
  11. 第53回 日本実験動物技術者協会総会、ラットの妊娠後期の骨格標本作製方法の検討並びに骨の形態と骨化進行度、2019.
  12. 比較眼科学会基礎講座 「眼の発生学」、2019.

論文・著者リスト

  1. 眼の発生学、坂 芳樹:比較眼科学会基礎講座テキスト、p1-15、2023年版
  2. Developmental Toxicity Study of Immunosuppressive Compound, Azathioprine in Rats -Effects of a Single Treatment during the Organogenesis-. Ban, Y. Univ. Bull. Chiba Inst. Sci. 16, 1-4. 2023.
  3. Fetal Ossification in Late Gestation Stage in ICR Mice. Ban. Y., N. Aizawa, M. Asano, Y. Ikuma, R. Kato and Y. Shiratori, Journal of Experimental Animal Technology, 57(2), 43-56, 2022.
  4. Fetal Ossification in Late Gestation Stage in Sprague-Dawley Rats. Ban. Y., N. Aizawa, M. Asano, Y. Ikuma, R. Kato and Y. Shiratori, Journal of Experimental Animal Technology, 57(1), 1-12, 2022.
  5. 特集:妊娠・授乳中の薬剤の安全性を科学する:生殖発生毒性の観点から、坂 芳樹、 プレシジョン メディシン Vol 4, No. 10, p10-13, 2021.
  6. Fetal Vertebral Anomalies Induced by Calcium Channel Blockers in Rats. Ban, Y and M. Horimoto, Univ. Bull. Chiba Inst. Sci. 14, 1-5. 2021.
  7. Study of preparation procedure for fetal skeletal specimens at late gestational stage in rats. BAN. Y., A. Kobayashi, Y. Moriyama, H. Tauchi and M. Horimoto, Univ. Bull. Chiba Inst. Sci. 13, 75-80, 2020.
  8. A Method with New Holder for Non-invasive Blood Pressure Measurement in Rats. Ban, Y and M. Horimoto, Journal of Experimental Animal Technology, 54(1), 1-6, 2019.
  9. 眼の発生、坂 芳樹、比較眼科学会基礎講座講座テキスト、p1-13、2019年版